[No.19]仔羊の巣
![]() | 仔羊の巣 坂木 司 (2006/06/17) 東京創元社 この商品の詳細を見る |
内容(「BOOK」データベースより)
自称ひきこもりの友人、鳥井真一が風邪で寝こんでいたある日、僕、坂木司は同僚から、同期の女性の様子がおかしいと相談を受ける。慣れない探偵役をつとめた僕が導き出した解答は…。また、木村栄三郎さんのもとで出会った男性と地下鉄の駅で見掛けた少年の悩み、そして僕自身に降りかかる悪意の連続、それらの真実を鳥井はどう解明するのか。ひきこもり探偵シリーズ第二弾。
読了しました。
鳥井くんに自立して欲しくて、ひきこもりと言う辛い状況を打破して欲しくて(或いは解放してあげたくて)努力する坂木。
だけど、自分だけを拠り所としてくれるか弱い存在を失くすのも嫌で……
今回は「喪失」がテーマなのかな。
人は日々色んなものを失って生きている。
例によって悪い人はいないし、以前出てきたキャラクターもそのまま登場してるし。
主人公は、実に見事に環境を選択してるなあと言う気がします。
いい人。本当の意味での悪い人は、鳥井の側にはいない。
本気で意地悪な人も、性根の腐りきった利己的な人も沢山いるのに、そう言う人たちは鳥井の近くには近寄らない。
「それは、神である作者がそう言う話を書くつもりがないからだ」と言われれば、それきりですが、一番無粋な理由ですよね(笑)
『死ねば事件だ』と言うミステリを書きたくなかった。
と作者が言っていたそうですが、鳥井くんにはそう言う事件が起きたとしても、解決は不可能でしょう。(やれば出来るだろうけど、「坂木が迷惑を蒙った訳じゃないから知らない」とか言いそう。
ひきこもりで他人との接触を過度に恐れる主人公が、『あなたは昨日の午後3時に仙台行きの新幹線に乗っていたというのは本当ですか?』とか、聞きようがないですよね(笑)
誰だって、自分の言葉を疑われるのは嫌だし、普通の人間だってそこに対人関係のストレスが溜まる。
対人関係のストレスから逃げ出した探偵に、そう言う事が出来るとも思えない。
だから彼は、小さな状況証拠をいくつも積み上げて、「謎」を解決していくわけです。
ホームズやポアロ、御手洗に代表されるような、「自信家」タイプの探偵とは別種の、
ミス・マープルや老給仕ヘンリー、亜愛一郎の様な(彼らを「安楽椅子」タイプと言うの?)タイプの探偵だと思うのです。
安楽椅子と書いてたら、何故か(笑)毒入りチョコレートを思い出しました。
多分、次回のエントリはそれです。

